パワーデバイスを用いた口蓋扁桃・アデノイド手術の手引き
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4 低温であるため、周囲組織の熱損傷を最低限に抑えることができるため、術後□痛の軽減につながるものである。 さらに近年、術後の□痛や早期出血を抑えることに加えて、晩期出血(Late Bleeding)も少ない術式である、コブレーターやマイクロデブリッターなどのパワーデバイスを用いた被膜内口蓋□桃摘出術(Powered Intracapsular Tonsillectomy:PIT)が世界的に拡がってきている。これらのパワーデバイスを用いた新しい手術法が目指すところは、術後合併症を減少させて「より安全・確実な口蓋□桃・アデノイド手術」の開発にある。このように、口蓋□桃・アデノイド手術に対して、様々なパワーデバイスを用いた手術法が用いられるようになっているが、「それぞれどのような特徴があり、どのように使い分けられるのであろうか?」との疑問に答えるために、本手術手引書を作成した。さらに、手術の実際と Tips & Pittfalls がわかりやすく解説された手術手引書として、本書をご活用いただけるものと思われる。 これからパワーデバイス手術を始める術者や、すでに一部の方法を行っている術者に、それぞれの方法の利点と欠点をお示しするとともに、実際の手術手技の手引となることを目的に作成した。3.口蓋□桃手術法の分類 口蓋□桃手術は大きく分けると、被膜外手術(Extracapsular Tonsillectomy)と被膜内手術(Intracapsular Tonsillectomy)とに分類される。さらに被膜内手術は、前口蓋弓から出た部分のみを切除する Class 1(□桃切除術に相当)と、口蓋□桃被膜直上まで□桃実質の大部分を摘出する Class 2(Subtotal Tonsillectomy:□桃摘出術に相当)に分けられる。有史以来、全身麻酔普及前まで行われていた被膜内手術である口蓋□桃切除術は Class 1 であり術後遺残□桃からの再増殖の問題が見られたが、パワーデバイスと鏡視(拡大視)下手術の融合により精緻な Class 2 手術が可能となった。 現在世界的には、従来型の被膜外口蓋□桃摘出術:Tonsillectomy(conventional TE:cTE)と、Class 2 の被膜内口蓋□桃摘出術(Powered Intracapsular Tonsillectomy:PIT)の両方が行われているが、一般的にこれらの術式は対象疾患によって使い分けがなされている。4.諸外国における PIT の適応拡大について 近年、スウェーデンなどの欧米の一部の国では、従来型の被膜外口蓋□桃摘出術(cTE)よりも被膜内口蓋□桃摘出術(PIT)の施行件数の方が多くなっている(図 1)。しかし、口蓋□桃手術が全て PIT に移行するわけではなく、従来型の口蓋□桃摘出術(cTE)と PIT が必要に応じて使い分けられている。特に、感染炎症性の□桃病変に対する手術には、PIT よりも従来型の口蓋□桃摘出術(cTE)が適していると考えられる。 さらに米国では、小児耳鼻咽喉科医の 20%程度が PIT 手術を採用しており、今後そのシェアが増加するとの予想がなされている1)。2017BMJ Open 7(1) :e013346図 1パワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き2011 年に、cTE と PIT の施行数が逆転した

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