【鏡視下パワーデバイスによる EPA 手術のデバイス ・コストと医療経済学的効果】 鏡視下パワーデバイスによるアデノイド切除術(EPA)は、従来法に比べてより安全確実な手術であるが、使用するパワーデバイスであるマイクロデブリッターのブレードやコブレーターのワンドなどのディスポーザブル部分の医療コストがかかることが課題である。 2024 年現在、アデノイド切除術の保険点数は 1,600 点である。マイクロデブリッターやコブレーション用ワンドは単回使用器具であり、これにかかるコストは 1 本約 30,000 円であるため、アデノイド切除術のみに対する使用は、病院負担を増やす可能性がある。しかしながら、手術侵襲や術後□痛の低減、耳管機能の温存などの面では患者への利益は大きいと考えられる。 また口蓋□桃摘出術におけるマイクロデブリッターやコブレーターの使用は、本邦において医療経済的効果が報告されており27)、アデノイド切除術と口蓋□桃摘出術を同時に行う症例(3,600 点× 2 + 1,600 = 8,800 点)においては、より高い費用対効果が期待される。さらに、EPA はより侵襲を軽減したい低年齢児において有用な方法であるが、保険点数上も 3-6 歳では 50%の加算により(3,600 点 × 2 + 1,600 点) × 1.5 = 13,200 点と増額され、さらに 3 歳未満では 100%の乳幼児加算が追加されることから、(3,600 点 × 2 + 1,600 点) × 2 = 17,600 点の保険点数となり、デバイスコストを吸収することができる。 鏡視下パワーデバイスによる被膜内口蓋□桃摘出術(PIT)の項でも述べたとおり、EPA にPIT を併用する場合(PITA)は術中術後の合併症を抑制して患児の早期回復退院に繋がるばかりではなく、 致死的合併症ともなる術後出血率を著明に減少させることのできる手術法であることから、入院期間の短縮とともに合併症への再入院・再手術、投薬等を減らすことによる医療コスト削減に直結するものである。この全く新しい手術法である EPA、PIT に欠くべからざるのが上記のパワーデバイスであり、今後適応症例を選んで EPA、PIT の導入を進めていくためには、各医療機関がデバイス・コストの心配をせずに使用可能となることが強く望まれる。 【参考文献:マイクロデブリッターによる EPA】1) Kamil Gokce Tulaci et al. : Comparison of transnasal and transoral routes of microdebridwe combined curettage adenoidectomy and assessment of endscopy for residue : a randmaized prospective study. Eur. Arch. Oto-Rhino-Laryn 278 : 797-805(2021)2) F.Costantini, F.Salamanca, T.Amaina, et al : Videoendoscopic adenoidectomy with microdebrider. Acta Otorhinolaryngologica Italica I, 2008 ;28 :26-293) 中田誠一:睡眠時無呼吸・いびきへの対応:小児への対応 口咽科 2016 : 29(1): 25-314) 中田誠一:アデノイド切除術:デブリッダー法と従来法とは何が違うのか? 口咽科 2014 : 27(1): 33-355) 久保伸夫:マイクロデブリッダーによる経鼻的内視鏡下アデノイド切除術 . MB ENT 11 : 47-50, 2002 6) Somani SS, et al : Endoscopic adenoidectomy with microdebrider. Indian J Otolaryngol Head Neck Surg 62 : 427-431, 20107) 大竹宏直,中田誠一,加藤賢史,他:マイクロデブリッダー使用によるアデノイド切除術の検討─従来法との比較─.耳展 2011 ; 54 : 369-3718) Inada H, et al : Comparison of classical method and microdebrider technique for adenoidectomy in pediatric patients with obstructive sleep apnea 2024 ; Fujita Medical Journal9) Songu et al. : Endoscopic ‒ Assisted versus Curettage Adenoidectomyパワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き53
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