【マイクロデブリッダーによる EPA 手術の Tips】 ①アデノイドを切除する範囲について 側方は耳管隆起が十分見えるまで、後方は後鼻孔まで切除する。 切除深度に関しては、後鼻孔が楕円形にきれいに見える様にすると、深さがわかりやすくなり、筋層を損傷しにくい。 下方に関しては口蓋垂を目安にするが、下方ではアデノイドの層は薄く、すぐに筋層が露出してくるので、深くならないように注意が必要である。術後開口時に口腔内からは創は見えない。 ②アデノイド切除および止血操作について アデノイド切除に関しては患者の体位によっても異なるが、懸垂頭位気味の体位をとっているのであれば、後鼻孔側から行う方が血液の垂れ込みを抑えることができ、視野が保たれる。懸垂頭位でない場合は、下方より始める。 止血に関しては、エピネフリンに浸した綿球を強く押し当てて圧迫止血する場合もあるが、むしろ、エピネフリン・ガーゼ(さばいた四折り)を上咽頭に押し込んで、アデノイド切除面を圧迫止血する方が止血効果が高い。一旦ガーゼを押し込んだ後、強い圧迫を解除して緩い状態で数分待つだけで多くの場合止血するが、止血しにくい時にはモノポーラ電気メス(サクションコアギュレーター)を用いて、出血持続部位をピンポイントに焼□する。まずは最も出血している箇所から行い、ある程度出血がおさまれば、血液の垂れ込みを考慮しながら順次焼□を行うと良好な視野で止血操作を行うことができる。 ③耳管隆起周囲の操作について 耳管隆起周囲を操作する際は、マイクロデブリッダーの吸引口の裏側(背部分)が耳管隆起側に常にあるように意識して操作を行うと耳管隆起の損傷を防ぐことができる。【マイクロデブリッダーによる EPA 手術の Pitfalls】 ①血液を吸引しながら容易に組織を切除できるため、意図せぬ出血の増加や、耳管隆起の損傷に注意が必要である(上記 Tips 参照)。 ②深部の筋層を障害すると出血しやすく、また止血に難渋するので、デバイスを押し付けて 1 部だけ深くならないように注意する。 ③サクションコアギュレーター使用による Grisel 症候群*のリスク上昇に留意する。* Grisel 症候群(GS)は、頭部と頚部の炎症状態に関連した非外傷性の環軸回転性亜脱臼または固定の状態である。主に子供で発症する。【マイクロデブリッダーによる EPA 手術のエビデンス】 この手術法による小児 OSA 患者における効果は、大竹ら7)が間接喉頭鏡下で Beckmann 輪状刀などの Curette を使う従来法と、内視鏡下にてマイクロデブリッダーによる EPA 法を比較して、術後の睡眠パラメーターやアデノイド残存率を検討している。その結果、従来法に比べてマイクロデブリッダーによる EPA 法の方が術後の無呼吸低呼吸指数(AHI)が有意に改善され AHI が 1 未満になる割合も有意に高かったと報告している。 我々もマイクロデブリッダーによる EPA 法で行った 30 例(男児 26 人、女児 4 人)と従来の術パワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き46
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