2.マイクロデブリッターによる EPA 手術 【VTR 参照】【概要】 内視鏡下パワードアデノイド切除術(EPA)で用いられるマイクロデブリッター(40°彎曲のRADenoid ブレード)はホットデバイスではないことからそれ自体には止血効果はない。しかし、出血は切除された□桃組織とともに吸引され、さらに 70°内視鏡システムとの併用で極めて明瞭な視野が得られることから、術中に出血に悩まされることはない。 EPA では従来法の Curett を用いた場合のようにアデノイド組織の大きな取り残しを防ぐばかりではなく、切除ラインが深くなりすぎて深部の靭帯や椎前筋の損傷を回避できることから、術中の激しい出血も防ぐことが可能である。後鼻孔から鼻腔内に入り込んだアデノイド組織は、EPA ではほぼ完全に切除可能であるし、耳管□桃を傷つけることなく、周囲のリンパ組織のみ切除することができることから、従来法とは異なる次元の手術であるともいえる。アデノイドリンパ組織内の切除では強い出血が起きることはなく、通常術中の出血はボスミン・ガーゼによる圧迫で容易に止血可能である。アデノイドの下方で椎前筋層が露出した部分などで圧迫だけでは止血し難いところでは、適宜モノポーラ電気焼□(サクションコアギュレータなど)を併用する。【マイクロデブリッターによる EPA 手術手順】 マイクロデブリッダーは、機器のシステムに関しては鼻腔内の手術の際と同様であり、外筒と吸引式回転刀である内筒から構成されており、外筒内に吸引された組織を回転刀である内筒で破砕し吸引するもので、周囲の粘膜や骨や骨膜を巻き込むことなく接触している軟部組織だけを切除することができる3)。鼻腔内で使用する際の先端が曲がったマイクロデブリッダーと同様の感覚で切除が可能であるが、刃の付いている先端の開口部が曲がりの外側についており、切除する方向は上咽頭の奥から手前に向かうようにすると手技が容易である。この手術で特筆すべきは従来法では切除しきれなかった後鼻孔周辺部まで取り残すことなく切除が可能になったことである4)。 もう一つの利点は手術時間の短縮である。おおよそ 10 分以内で、さらには視野に慣れてくると5 分以内で後鼻孔周囲を含め、耳管隆起を温存しアデノイドをほぼきれいに除去できる。マイクロデブリッダーによる耳管隆起の損傷は注意しなければならず、側方の処理を行うときは注意深い観察が必要である。重要なのは適切なマイクロデブリッダーの回転数を選択することである。600-800RPM(オシレーションモード)にて使用すると手術時間には影響せず確実な切除ができる。 アデノイドの充満が強く、手術開始時の視野にて後鼻孔がまったく同定できない症例に遭遇することがある。そのような場合は、まず中央部からマイクロデブリッダーにてアデノイドの切除を進めて行くとやがて後鼻孔が同定できるようになり、そうすればやがて側方にも視野が開けてくる4)。 出血量は久保らで平均 20ml 5)と述べている。他の論文でも平均出血量は 30ml 前後 6)であった。アデノイド切除による出血に対しては、エピネフリン・ガーゼを上咽頭に挿入して圧迫止血をすることでほぼ停止するが、止まりにくい時にはモノポーラ電気メス(サクションコアギュレーターⓇなど : 写真)を使用する場合もある。サクションコアギュレーターⓇ(Medtronic 社)とは吸引をしながら電気凝固止血を行うことができる器具であるが、我々はスプレーコアグモードの出力40watt にて止血を行っている。この器具は先端を自由に曲げることができるため、より速やかかつ正確に止血が可能である。パワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き44
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