コラムどこまで取ればいいのか?─椎前筋を障害しない─ 深頸筋膜深葉である椎前筋膜を障害すると出血しやすく、また止血に難渋するので、デバイスを押し付けて 1 部だけ深くならないように注意する。アデノイド組織のみを広く平坦に切除していくが、耳管扁桃付着部より深い部分の切除は必要ない(左図:青線)。しばしば、アデノイドは後鼻孔よりも鼻腔内側に入り込んでいるが、この部位もパワーデバイスを用いれば危険なく切除可能である(青丸)。反対に尾側ではアデノイド組織は薄いので、少し深く切り込むと筋層が露出してしまうので注意が必要である。アデノイド切除後の止血法 止血には、エピネフリンに浸した綿球を強く押し当てて圧迫止血する場合もあるが、むしろエピネフリン・ガーゼ(さばいた四折り)を上咽頭に押し込んで、アデノイド切除面を広く均等に圧迫する方が止血効果が高いと考えている。一旦ガーゼを押し込んだ後、圧迫を解除して緩い状態で数分待つだけで多くの場合止血するが、止血しにくい時にはモノポーラ電気メス(サクションコアギュレーターなど)を用いて、出血持続部位をピンポイントに焼灼する。この場合、まずは最も出血している箇所から行い、ある程度出血がおさまれば血液の垂れ込みを考慮しながら順次焼灼を行うと良好な視野で止血操作を行うことができる。 (文責:伊藤真人) パワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き43
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