にかかる医療コストを抑制するとともに、小児の場合には付き添いの保護者の休職などによる社会的医療コストも削減できる見込みである。【今後の課題:デバイス・コスト】 現在、口蓋□桃手術(摘出)の保険点数は一側 3,600 点、両側 7,200 点である。3-6 歳では 50%の加算により(3,600 点 × 2) × 1.5 = 10,800 点と増額され、さらに 3 歳未満では 100%の乳幼児加算が追加されることから、(3,600 点 × 2) × 2 = 14,400 点の保険点数となる。 上記のように、パワーデバイスによる口蓋□桃摘出術(PIT)は、従来型の Tonsillectomy(cTE)に比べてより安全で合併症の少ない手術と考えられるが、使用するパワーデバイスである、マイクロデブリッターのブレードやコブレーターのワンドなどのディスポーザブル部分の医療コスト(1 本約 30,000 円)がかかることが課題である。しかし前述したように、PIT は術中術後の合併症を抑制して患児の早期回復退院に繋がるばかりではなく、致死的合併症ともなる術後出血率を著明に減少させることのできる手術法であることから、入院期間の短縮とともに合併症への再入院・再手術、投薬等を減らすことによる医療コスト削減に直結するものである。この全く新しい手術法(PIT)に欠くべからざるのが上記のパワーデバイスであり、今後適応症例を選んで PIT の導入を進めていくためには、各医療機関がデバイス・コストの心配をせずに使用可能となることが強く望まれる。【海外のガイドラインにおける PIT の取り扱い】 現在世界的に見ても、□桃手術において従来型の 口蓋□桃摘出術:conventional Tonsillectomy(cTE)よりも、パワーデバイスによる被膜内口蓋□桃摘出術(PIT)を推奨しているガイドラインは存在しない。しかし、ドイツの□桃炎ガイドライン 2016 年版 “Clinical practice guideline : tonsiltis II. Surgical management” 24)においては、被膜外摘出である従来型の Tonsillectomy(cTE)ではどのような方法(Hot or Cold dissection)を用いても、周囲の咽頭筋、血管、神経が損傷されるとともに、術後に創部 が露出して細菌や唾液酵素の曝露にあうために、強い□痛や出血などの術後合併症がみられる、さらに稀ではあるが術後出血は生命予後を脅かすものであると述べられている。【結び】 ホットデバイスを用いた従来型の口蓋□桃摘出術(Hot Tonsillectomy)は、術者の経験年数や用いられるデバイスの違いに関わらず 1-4%の頻度で術後出血がおこるとされている。術後出血では再入院や再手術による止血処置が必要なこともあり、時に生命の危険を伴う患者・術者双方に身体的・精神的にストレスのかかる手術である。OSA などの□桃肥大に対する手術においては、被膜ごと全て摘出する従来型の口蓋□桃摘出術(cTE)という術式にこだわることなく、より安全な口蓋□桃切除術(TT)、特に Class2 の PIT の導入を検討すべきである。 昨今、小児の睡眠障害が発達に及ぼす影響が懸念されており、OSA 手術の低年齢化が進み 1-3歳児の手術症例が増加しているが、特に低年齢児では術後のトラブルが多いことから、より安全確実な手術が望まれる。パワーデバイス口蓋□桃摘出術(PIT)は、従来法に比べてより安全確実な手術であり、今後わが国においても広く行われるべき手術法である。パワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き34
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