パワーデバイスを用いた口蓋扁桃・アデノイド手術の手引き
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 3.バイザクトによる被膜外口蓋□桃摘出術【解説】 血管シーリングとは、高周波電気エネルギーを用いて血管壁を癒合させることでシールを作ることである。Medtronic 社のバイザクトは、□桃摘出に適する形状で開発された血管シーリングもしくはアドバンスドバイポーラと呼ばれるエネルギーデバイスである。先端電極(ジョー)の間にはさんだ組織温度を 70℃から 80℃に保つように出力管理を行い、タンパク変性により血管内腔を癒合させることで効果的に止血するとともに、周囲組織の熱損傷を最低限に抑えることができる。【バイザクトの導入】 バイザクトは Medtronic 社 ValleylabTM FT10 エネルギープラットフォーム(以下 FT10)に接続することで使用可能である。FT10 は電気メスやバイポーラデバイス、リガシュアなど日常的に手術室で使用する汎用電気手術器(Electro Surgical Unit)であり、すでに多くの施設に導入されているため、バイザクトハンドピースのみが必要となる場合が多い。 バイザクトハンドピースは 1 種類のみであり、FT10 に接続することで特に出力条件などを設定することなく使用可能となる。単回使用であり、FT10 は接続され出力したバイザクトを記憶しており、万が一誤って再滅菌した場合も、出力を行ってから 12 時間を経過したハンドピースは接続しても使用できない。バイザクトハンドピースの定価は 48,000 円である。 バイザクトハンドピースは図 1 のような形状である。12cm のシャフトの先端にわずかに上にそったカーブドジョーが位置している。ハンドルを握ることでジョーが閉じ、さらに握りこんでスイッチを押すことで出力が行われる。スイッチはタクタイルスイッチとなっており、押し込む際に強い力を必要としないが「カチッ」という感覚により出力が開始されることを把握しやすくなっている。(フットスイッチにより出力を行うことも可能である) 厚さ 3mm の組織までシール可能であり、数秒間の出力後に「ピッピッ」という音とともに出力が自動で終了する。組織の抵抗値を経時的に測定することで、十分なシーリングが完了したことが確認されている。切離が必要な場合、カッティングトリガを引くことによりシールされた組織の中央を切離することができる。シール長は 12mm 行われ、切離長は 11mm であり、先端 1mm は切離されない。 ハンドルには「かえし」がついており、組織の剥離を行う際に中指でかえしを押すことでジョーの先端が開くため、剥離鉗子のように操作することができる。図 115パワーデバイスを用いた口蓋□桃・アデノイド手術の手引き

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